「アッパ・・・・・だいしゅき。」
_____スンジョ君・・・・・・大好き_______

キラキラと輝くその大きな瞳は、純粋で心にごまかしのない瞳だった。
その心の中まで映し出す瞳は、ハニとあまりにも似ていた。
この子はハニが産んだ子供で、もしかしたらオレの娘かもしれない。
オレの娘だとはっきりと思い抱きしめたいが、自分を傷つけた相手の子供だとハニは言わないだろう。
ただ、この女の子と初めて会ったのに、愛おしくて仕方がない複雑な思いがグッと込み上げてきた。

一瞬スンジョはスンハの唇が触れた時に、ハニが自分にキスをして来た時の感触を思い出した。
駅に向かう車が待つロータリーまで、スンハを抱いて行くと、スンハは嬉しそうな顔をした。
スンジョとは初めて会ったのだから、父親だと知らないはずではあるが、二人の顔が並ぶと何となく似ていた。
保育士にスンハを返して車に乗り込むと見送りの人の後ろから、職員にスンハがここにいる事を聞き追いかけて来たハニが姿を現した。
スンハを保育士から受け取った時に、車に乗っているスンジョに気付いた。
スンジョ君・・・・・・・・
強い雨の中、車が静かに走り出した。
スンジョは、スンハを抱いているハニに気付かない。
スンジョ君・・・・・・・スンジョ君・・・・・・
声に出して、呼びたい大好きな人の名前。
心で呼ぶハニの声が聞こえたのか、スンジョは振り向いた。
「ハニ?」

ハニの心の声がスンジョに聞こえた。
車は既に走りだし、後部座席から振り返ってガラス越しにハニを探しても、スンジョを最後まで見ていたいと集まった女子学生たちに押されてハニの姿は見えない。
スンジョはそれでもハニがここにいたことを確信することが出来た。

運転席のバックミラーに映る物を見えるように少し体をずらして、離れていくウファ大学の建物の方を、教授と運転している人に気が付かれないようにスンジョは見ていた。



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